野原(のはら) 昭子(しょうこ) (64)

  1957年、福岡県生まれ。カトリック信者の両親の許で育つ。支援活動の原点は、2歳で他界した重度障害のあった妹の存在。シスターとして障害者支援をしようと16歳で修道会に所属、海外はペルーやボリビアで活動した。最貧国の一つであるボリビアでは行政支援は障害者にまで回らない。38歳でボリビアに派遣された野原さんは、多くの障害者が家庭に閉じ込められている現状に心を痛め、3年後に修道会を離れる決心をした。高齢者や病人、障害者を見ると世話をせずにいられない自分がいる。もっと妹の世話をしていれば、という後悔が彼女の背中を押し、コチャバンバで障害者支援を開始した。家を無償で借り受け、1999年に「聖マルティンの家」が誕生。ここは自立を支援する家。一人ひとりが持てる能力を生かしてできることをする。食事の準備は、手が動かない人は目と口で指示し、目の見えない人は味見をする。教育のために学校へ通ったり、自分たちで食べる野菜を育てたりと、入所者とスタッフは家族のように暮らしている。野原さんの活動は実姉が代表を務める、福岡にあるNPO法人が支えている。日本からの支援で新しい“家”も建ち、20名以上の障害児・者と暮らしている。野原さんは現地からの定期報告の他、時には帰国して講演会を行うことで支援の輪が広がることを願っている。