谷川(たにかわ) (ひろし) (76)

  1943年、福井県生まれ。東京大学経済学部を卒業後、総合商社に入社。50歳の時に海外支配人の声がかかったが、順調に会社生活を送れたのも、子どもたちが立派に育ったのも妻のお陰と、悪性腫瘍と診断された妻・孝子さんの闘病を支えるため、辞退する。妻を見送った後、末息子が大学を卒業する60歳から社会貢献を始めようと決意。それは、5歳の時に地震で家の下敷きになったが一命をとりとめた経験から、人のためになることをしようと、共に救助された兄と誓い合ったから。活動を模索中に途上国の教育支援事業を任せられる人の紹介を頼まれ、その役を買って出た。2004年に退職すると「アジア教育友好協会(AEFA)」を立ち上げ、東南アジアの山岳地帯を奔走。3年後にNPO法人格を取得して理事長に就任した。AEFAは学校建設事業と国際交流事業を実施している。住民参加を条件とすることで村人は“私の村の学校”を維持管理するようになり、ベトナムやラオスなどで320校以上建設してきたが廃校になった学校は一つも無い。また、日本に友だちがいることが現地の子どもたちの励みとなり、日本の子どもたちは世界の現実を知ると共に豊かさの中で失われがちな思いやり、感謝、家族の大切さを学んでいる。谷川さんは今後も、双方向性のある事業を継続したいと考えている。