加藤(かとう) 庸子(ようこ) (66)

 1952年、愛知県名古屋市生まれ。1978年に愛知医科大学医学部を卒業し、外科の開業医であった父の影響もあり、脳神経外科の道に進む。主治医や執刀医が女性だと心配と話す患者が珍しくなかった時代に、体力勝負の外科で他の研修医と手術の担当を奪い合うようにしながら貪欲に技術を磨き、腕を上げていった。1986年3月、藤田学園保健衛生大学(現、藤田医科大学)大学院の医学博士を取得。2006年に同大学で日本初の女性脳神経外科教授となり、2012年9月には日本脳神経外科学会初の女性理事に選出。2014年10月から現職の藤田医科大学ばんたね病院脳神経外科教授に就任している。日本では毎年13万人もの患者が脳卒中で亡くなっており、中でもくも膜下出血は死亡率が高い。加藤さんは、くも膜下出血の原因となる脳の血管にできた“こぶ”をチタン製の特殊なクリップで挟み、破裂を未然に防ぐクリッピング術のスペシャリストとして知られており、これまで2000件を超える手術を行ってきた。また、ばんたね病院へ国内外からの留学生の受け入れ若手医師の育成研修を行う他、自身で「公益財団法人加藤庸子国際基金」を設立し、脳外科医が少ないアジアやアフリカの国へ赴き、教えながら手術する活動を年20回、20年以上続けている。