片桐(かたぎり) 和子(かずこ) (79)

 1937年、神奈川県横須賀市生まれ。新潟大学教育学部長岡分校修了後、小学校教諭となった。在職中は子どもたちの健全育成に尽力する傍ら、新潟県教職員組合女性部長や県女性財団理事などを歴任。1997年に退職後、夫の昭吾さんと共に長年の夢だった非政府組織(NGO)を立ち上げた。国際協力について勉強しようと参加したインド・スタディーツアーで、路傍暮らしの子どもたちに出会ったことが、その後の人生を大きく変えた。真夜中の駅の露天ホームで身を寄せ合って眠る大勢の子どもたち。見てしまったからには放っておけない。2003年、現地NGOと連携してインド東部のビシャカパトナム市郊外で「子どもの憩いの村」建設を開始。退職金と貯金が尽きると、県内企業や友人に資金援助を呼び掛けた。当初は、日本にも貧しい人がいるのになぜインド支援なのかと批判する人もいたが、片桐さんの決意は揺るがなかった。資金確保のために昭吾さんは再就職し、和子さんはバザーを開催するなど奮闘。努力の甲斐あって自立支援のための宿舎4棟、200名が一緒に食べられる大食堂、職業訓練所2棟、農園、図書館、診療所などが完成した。2012年には州政府の認可を受けた学校を開校。隣接地には大スポーツグラウンドも開場した。教育こそが貧富の差のない社会、平和な世界を築くという信念のもと活動を続けている。