吉田 (よしだ ) 貴彦 (たかひこ )(58)

 1957年、北海道生まれ。吉田さんは現在、旭川医科大学で予防医学を専門領域とする健康科学講座を主催している。東海大学医学部卒業後、同大学院へ進学し衛生学分野を専攻した。吉田さんが衛生学を志した理由は二つ。一つは専門化しすぎた臨床医学のもとで患者全体を対象とする全人医療がなされ難いことへの反発。もう一つは、開業医でクリスチャンであった父が、奉仕の精神に基づく全人医療を実践している姿を見て育ったこと。父から予防医学の重要性を聞いていた吉田さんは、人々に奉仕できる予防医学としての衛生学にやりがいを見出し、東海大学や米国の国立環境健康科学研究所で研究に打ち込んだ。2000年1月、旭川医科大学に赴任。教授として衛生学講座(現 健康科学講座)を受け持つ傍ら専門知識を生かして保健行政や地域社会とも連携し、NPO法人健康保養ネットワークの活動では健康増進が医療費削減に有効であることを実証した。また、NPO法人カムイ大雪バリアフリー研究所では地域の大学関係者、病院、介護施設、旅行業界、料飲食企業、障害者スポーツ支援会、市民団体などと共に、障害者自立支援のための活動を行っている。吉田さんの尽力により旭川市は、障害当事者が積極的に社会参加している、先進的な都市として認知されている。