有森(ありもり) 裕子(ゆうこ) (46)

 1966年、岡山県生まれ。日本体育大学卒業後、実業団のマラソン選手として頭角を現し、1992年のバルセロナ五輪では銀メダルを、1996年のアトランタ五輪では銅メダルを獲得した。
 1996年、プロランナーとして活躍する有森さんの元へ、アンコールワット国際ハーフマラソンへのオファーがきた。カンボジアには当時、ポル・ポト政権下の内戦で埋められた地雷が1000万個残っているといわれており、参加料は、地雷で手足を失った人へ贈られる義手や義足製作に充てられるというものだった。これを機に、スポーツを通じて社会貢献しようと決意。個人の枠を超えた息の長い国際貢献を実現するため、1998年に郷里の岡山に「ハート・オブ・ゴールド」を設立し、代表理事に就任した。時には現地の教育省や国際協力機構(JICA)などと協同で、カンボジア小学校体育科教育振興事業を展開している。そのほか、苦境に立ち向かう人々の生活自立支援、とりわけ子どもたちの心のケアに力を注いできた。さまざまな活動が認められ、2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ大賞を日本人として初受賞。同年12月には、カンボジア国王からロイヤル・モニサラポン勲章大十字を受章した。