黒﨑(くろさき) 伸子(のぶこ)(55)

 1957年、長崎県生まれ。1981年、長崎大学医学部卒業。東京女子医大や聖隷浜松病院で外科の研修の後、1983年に長崎大学医学部附属病院第1外科へ入局。国立病院機構長崎医療センターの小児外科医長や国立病院機構長崎病院の外科医長を経て現在は、黒﨑医院での診療のほか、市立大村市民病院で週1日小児外科専門外来を担当している。
 地域医療に貢献している黒﨑さんには別の顔がある。それは、海外での医療援助活動だ。「あなたを待っている人たちがいます」という、国境なき医師団(MFS)のポスターが目に留まり、迷うことなく派遣者募集に応じた。医師になって20年目を迎え、学生の指導や学会活動などの雑事も増え、直接患者と向き合う時間が減っていた頃のことで、この出合いが黒﨑さんの人生を大きく変えた。2001年4月以降、スリランカ、ヨルダン、インドネシア、リベリア、ナイジェリア、ソマリアなどで外科医として援助活動に従事している。また国内でも、東日本大震災の被災地で海外からのスタッフとともに医療活動を行った。MFSの派遣先は、貧困や紛争などで命の危機に直面している人たちがいる地域であるため、緊急退避の経験もあるが、次の派遣先が危険と隣り合わせの紛争地帯であっても、待っている人がいる限り医者として援助の手を差し伸べる覚悟をしており、2010年3月から国境なき医師団日本の会長の職を担っている。また、29歳の時から日本BPW連合会の活動に参加し、異業種の女性とともに、女性の社会的地位と職業水準の向上、働く女性の社会環境の改善・整備、国内外で働く女性間の親交と理解の促進などに努めてきた。同連合会会長を務めていた2005~2009年の間には2007年と2007年の2回、国連総会日本政府代表顧問として出席している。