大平(おおひら) まゆみ(55)

 1957年、宮城県仙台市生まれ。4歳の頃からヴァイオリンを始め、師事していた先生の勧めで東京藝術大学附属音楽高等学校へ入学。高校3年の時の卒業演奏会で、客席との一体感や気持ちの高揚を感じ、演奏に集中できたことから演奏家になることを決意。東京藝術大学へ進学した大平さんは入学後間もなく、サンフランシスコ音楽院の招待留学の機会を得て渡米。在学中に、コールマン・ナショナル室内楽コンクール第1位、 タングルウッドのバークシャー音楽祭で最優秀ヴァイオリニストに選ばれシルバースタイン賞を受賞した。卒業後、同音楽院やスタンフォード大学の講師を勤めながら演奏活動を続ける。1995年にはスイス・ジュネーブで開催された国際連合50周年記念オーケストラに日本代表で参加するなど、米国を中心に、カナダや欧州のオーケストラで活躍し、 1989年に活動拠点を日本へ。東京交響楽団に所属し、国内外でオーケストラやフリーでの演奏活動を行う中で、札幌交響楽団からゲスト・コンサートマスターとして招かれたことをきっかけに、1998年、コンサートマスターに就任。現在、札幌交響楽団のコンサートやソロでの演奏活動のほか、人を癒す、人を元気にする音楽の力を伝える活動として、病院や福祉施設での慰問演奏にも力を注ぎ、小学校訪問、親子で楽しむコンサートなども開催している。米国留学中、 コミュニティサービスの授業で病院や刑務所などを訪れ演奏している時に、聞く人の心に届くような演奏をしなければならないことに気づかされ、演奏は一方通行ではないことを知った。この貴重な経験が大平さんの演奏家としての原点であり、年200回以上の演奏活動を支えている。 2009年、これらの活動が認められ、札幌芸術賞を受賞した。