山根(やまね) 正子(まさこ) (79)

  1937年、鳥取県大山町生まれ。1958年に鳥取赤十字高等看護学院を卒業し、看護師になった。ネパールには貧しくて医療を受けられない人が大勢いることを知った山根さんは、一人息子の独立を機に、46歳で、必要としてくれる人のために人生を捧げる覚悟で単身ネパールへ移住した。退職金の100万円を元手に首都カトマンズ市近郊で始めた無料診療所は、お金を持ち逃げされあえなく閉鎖。その後、設立しようとした医療施設が工事半ばで破壊されるなどの憂き目に遭いながらも前進することを諦めず、1986年に借家でRHESC(Rural Health Education and Service Center)を開設した。山根さんの奮闘は元同僚を介して日本へ伝わり、徐々に支援の輪が広がって、日本の支援団体からの援助でセンターの機能は充実してゆく。病院のない地域への巡回診療、学校への救急箱配布や救急法の指導など、ネパールの人たちの健康を守るため多岐にわたる活動を続け、昨年4月に発生した大地震の際も、多くの人を救った。山根さんは、国民の健康はその国の人が守るべきと考え、医療技術習得のため日本へ留学させるなど、後継者育成にも尽力してきた。2013年には政府認可のはり・きゅうの学校を開設。今秋、第1期生が卒業する。設備や器具が軽便で薬も使わないことから、経済力に乏しい地域でも有効な治療法としてネパール全土へ広がることが期待されている。