須藤 (すどう) 昭子(あきこ)(88)

 1927年生まれ。須藤さんはカリブ海のハイチ共和国で36年間医療支援に関わり、現地の人からハイチのマザーテレサと呼ばれた人である。大阪女子高等医学専門学校で学び、1950年に医師国家資格を取得。同年から西宮市のクリスト・ロア病院に勤務し、1954年にカナダ・クリスト・ロア宣教修道女会の修道女となった。1976年、西半球で最も貧しい国といわれていたハイチへ派遣される。独裁政権下で暮らす人々は貧困と恐怖の中にあり、成人の死亡第一原因は肺結核だった。結核専門医として現地へ乗り込むも、設備も器具も薬も、医師さえもいない名ばかりの国立病院でゼロからのスタートを切り、ハイチ人のシスターや医師、看護師と協力し、カナダや日本からの援助を受けて設備を整えていった。1980年代後半、クーデターで混乱に陥ったハイチから多くの外国人は離れたが、須藤さんは患者を見捨てられず留まった。その時一人の患者から、シスターは僕たちで守りますと言われたことが心に残っている。2008年に病院を引退後は自立支援のため農業学校設立に尽力し、2010年のハイチ大地震の後は病院と農業学校プロジェクト再開のために奔走した。2013年に健康上の理由で帰国し現在は、静岡県の所属修道院で療養している。