山地(やまぢ) 和家子(わかこ) (81)

 1932年、京都府生まれ。山地さんは大阪YWCAを退職した後、大阪YMCAが募集した洋裁指導ボランティアに応募し1992年から、ミャンマーで暮らす貧しい人々や障害のある人たちに洋裁の指導を続けてきた。初めての訪問は、自宅軟禁されていたアウン・サン・スー・チーさんがノーベル平和賞を受賞した翌年。生徒には破傷風や小児まひなどの病気、また地雷で障害を負った人が多かった。ミャンマーは、第一次産業以外の仕事が少なく、障害のある人への支援制度も整っていなかった。
 山地さんは、国に見捨てられ、心も体も傷ついた女性たちに、物資不足の中、バナナの葉で型紙を作り、ろうそくの明かりで野外授業を行った。当時は、外国人は監視の対象であった軍事政権下。現に山地さんも、尾行されたり、夜中に家へ踏み込まれたり、カメラを取り上げられたり。危険な目に遭いながらも、手が使えない人には足踏みミシンの使い方、足が使えない人には手芸を教えるなど工夫を凝らし、障害のある女性たちが収入を得て暮らしていけるよう、丁寧な指導を続けてきた。国交も開かれ現在は、海外からの支援が市民へ届きやすくなってきている。年金から渡航費用を捻出して、現地を訪問する山地さんの献身的な活動は20年を超えている。